2016/01/05

今、最大の課題に 直球で挑む

道徳教育の実践に取り組まれているすべての先生方

あけましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします

 さっそくですが、昨年12月19日に東京で行われました「第7回 みらいの道徳をつくる会」の報告をさせていただきます。
 今回のテーマは、
「これからの問題解決的な学習」 でした。
 「問題解決的な学習」、「アクティブ・ラーニング」。もう何度も聞かれたことと思います。そのたびに、???との思いを抱かれる先生も多いのではないでしょうか? 今回はぜひ、そこを明らかにしていこうということで、国立教育政策研究所の
総括研究官・西野真由美先生をお招きし、実際に問題解決的な学習の実践を積み重ねられている埼玉県深谷市立豊里小学校の浅見哲也先生の実践報告と合わせて学ぶことができました。
 以下、講演後のパネルディスカッションを含め、総じて話題となったポイントをご紹介します。

1)浅見先生の実践報告から
  *できるだけ事前に児童の実態をアンケートなどで調査し、現状での児童の意識や考え方をおよそ掴んでおくとスムーズにできる。
  *その上で、学習課題は端的にズバリ、「こういうことについて今日は考えてみましょう。」と投げかけたほうがよい。
  *学習課題は、教師から一方的に与えるもの(押し付け)でなく、教師も児童と同じ土俵で考えられる、共有できるテーマが望ましい。それによって、学級全体で意見を交換し合い、子どもと一緒に教師も授業を楽しめる。例えば「きまりは何のためにあるのだろう?」、「自分の気持ちをコントロールできる仕方を考えよう」のように。
  *効果的な授業のアレンジとしては、グループ学習や、道徳的価値の見える化、役割演技など、児童の実態や教材の特色などを考えて、価値の自覚を深めていく方向で選択する。

2)西野先生の講演から
  *中央教育審議会での教育課程の議論の根底には、現在、予測不能な未来に生きる子どもたちにとって必要な、資質・能力を育成するという不可避のミッションがある。「アクティブ・ラーニング」などはそこから生じる学びの方法である。学習観の根本的な転換が必要である。
  *大切な視点として、子ども自らが取り組む問題発見と解決、他者と協働して行う自己の成長につながる学び、子ども自身が見通しをもって取り組み自分の学習活動を振り返ることなどがある。
  *求められる道徳科の実践の方向性としては、
    ・子どもの思いに沿った授業にする。
    ・短冊を多用するような教師の計画に沿う授業ばかりでなく、予定調和でない授業も失敗とは言えない。よりアクティブに、選択肢の多い授業に変えていってほしい。
    ・問題解決的な学習はこれからなので、どんどん新しいアイデアを出し合ってほしい。
    ・「心情を問う発問」はディスカッションに向かない場合が多いので、子どもが考えたくなるような、みんなで共有できる「切実な問い」が必要。
    ・子どもが発する子どもの人生にとって大切な「問い」を見出し、その「問い」で勝負する授業を考えてみてほしい。
    ・「問い」を出し惜しみしないことで、見通しをもった学習が可能になる。

  浅見先生の実践報告と、西野先生の数々のご提案には共通点が多々あるように見受けられます。大正期の新教育の思潮のように、「児童中心主義」と言えるかもしれません。今年は道徳の教科書も作成が進み、道徳科の足音がいよいよ迫ってきます。上記のご提案には、これまでの指導法に慣れがある先生には正直厳しい部分もあるかなと思いますが、教師という専門職の矜持を新たに見出すチャンスととらえるほかなさそうです。
  

0 件のコメント:

コメントを投稿