2013/06/04

5/11 全体会ワークショップと分科会が開かれる

去る5月11日(土)に、國學院大學たまプラーザキャンパスにて「みらいの道徳をつくる会」が開催されました。
2年前の5月7日に発足して以来、道徳授業の改善につながる新しい発想と手立てを求めて全国から幾度となく多くの先生方が集まられました。
計画では、およそ2年間で研究成果をまとめていこうと進めてきています。来る8月31日(土)が、第1回目の発表の場となります。そこはご期待いただくとして、今回は、計画的な取り組みを念頭におきつつ、各分科会ごとにこれまで積み重ねてきた検討材料の整理が行われました。
また、前回より好評いただいている「授業づくりワークショップ」も行いました。

特異日とでもいうのでしょうか、生憎ご都合がつかなかった先生方も多く小規模な会とはなりましたが、鳥取から初参加の先生も見えられ、かえって従来と少し味わいの異なる内容の濃い会とすることができ、懇親会も盛り上がりました。國學院大學の田沼教授をはじめ、先生方のご尽力に心から感謝申しあげます。
会の内容をかいつまんで報告いたします。

【全体会】

◆上越教育大学教授の早川裕隆先生に、「役割演技と道徳的価値の実感的理解について」お話をいただきました。
  * 「役割演技」を成功させるのは
難しいと思われてきたと思います。道徳資料の登場人物になりきって資料中のセリフを語らせようとしても、子どもが照れてしまったり、段取りが滞りがちでうまくいかなかった経験をおもちの先生が多いかもしれません。

  * 早川先生によれば、役柄を求められるままに演じるのは演劇の世界の話であり、道徳授業における「役割演技」(ロールプレイング)ではないということです。
  * ロールプレイングは本来、役割を自発的・創造的に演じるもので、与えられてするのではないと言われました。
  * つまりは、道徳資料中のある問題場面を見ている“観客”を育成するようなもののようです。登場人物たちの対話やシチュエーションを見て、子どもたちの脳裏に思い浮かんだ言葉が、自由に表現される(演じられる)ことがロールプレイと言えそうです。そういえば、ちょっと違いますが「岡目八目」の立場は気が楽ですね。
  * それが、みんなの前に引き出され、資料中のセリフが上手に(気持ちを込めて)言えるか試されるなら、子どもならずも緊張で逃げ出したくなってしまうでしょう。

 早川先生のお話をうかがって、役割演技指導に対するハードルが少し下がった気がしました。もちろん、道徳資料によっては、情報量が多すぎてロールプレイが難しいケースも多いらしいので、計画段階からよく考えて取り組もうと思いました。

◆「授業づくりワークショップ」
  今回は、マンガ資料「タクミ君 大いに揺れる」(『かけがえのない きみだからー中学生の道徳』3年 (株)学研教育みらい刊 所収 /原典は、玖保キリコ作『いまどきのこども』第1巻 小学館 所収)を吟味しました。
  * 少人数のグループ分けでしたので、中学校用の道徳資料ながら小学校グループの先生方にも高学年対応でお願いしました。
  * バスの座席をお年寄りにどう譲るかで逡巡する様子が描かれた、ありがちな内容ですが、議論を進めてびっくり。子どもの内面描写や、マンガのコマ割り・セリフ回しがこんなにも意図を感じさせる深みのある資料だったのかという点で、みなさん一致してしまいました。
  * 時間的制約もあり、肝心な指導案についての議論ができませんでしたが、それでも口角泡が飛ぶような白熱した議論が展開されて満足です。
  * 意外だったのは、これまで2-(2)「思いやり・親切」とされていた指導内容(価値)が、むしろ1-(3)「自主・自律」ではないかとの結論に向かったことでした。主人公の内面に宿っているお年寄りに対する思いやりや親切心が、周囲の目を気にして発揮されにくくなっていることが、心の課題として最大のものではないだろうかということになりました。
  * 小学校高学年から中学生の段階は、自我の成長に伴いそのような発達的特質をもっていると聞いたことがあります。自分が周囲からどう思われるかが気になって仕方がない心理ですね。それが、自分の心の底に眠っている道徳的価値(思いやり・親切)への自覚の妨げになっているのなら、ぜひ授業という協同の学習を通して価値の自覚へと導きたい、そんな衝動にかられたワークショップでした。

【分科会】

第1分科会(話し合い活動による授業改善)
第2分科会(価値の内面化による授業改善)
第3分科会(心に響く道徳資料の開発と活用)
◆それぞれに分かれ、8月の研究発表を見据えた課題の整理と実践研究について話し合いました。詳細は、後日このブログ上にアップする予定です。ご期待ください。



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